akiさんが投稿したサスペンション・ロベルタ・スプリング・セッティング・注意喚起に関するカスタム事例
2025年10月31日 13時55分
現在フィリピンに単身赴任中、帰国予定無し。 クルマ以外にもフィリピン色々のブログを書いて暇を潰していますので、よかったらお気軽に絡んでくださいませ。 2023.4.15 マツダCX-7に乗り換えました。 程よくボロくて、暇つぶしには最適です。フィリピンでの部品の入手難易度もクライスラーよりはだいぶマシな感じですね。 またコンドミニアムの駐車場で過ごす時間が激増中です。エアコン完備のガレージが欲しい。。。
ロベルタリフトという商品を自動車関連の記事で見かけて、「あれ?」と思ったので自分の古い知識を頭の隅から引っ張り出して、ホコリを払って整理してみました。イラストはエクセルで適当に描いたサスペンション全体のイメージ図です。ダブルウィッシュボーンみたいな絵ですが、ストラット式でもマルチリンク式でも考え方の基本は同じです。
実際にはタイロッドやスタビライザーの動きも考慮しますが、今回はなるべく簡単にまとめて、そのうちブログの方でちゃんと書いてみたいと思います。
もう20年以上前ですが、某有名社外サスペンション屋さんで設計をやっており、その当時実際に新車を使ってまず型取りという作業をしていました。クルマのサスペンション全体の寸法データを確認する作業です。
上のイラストはスプリングとバンプラバーを外して、ショックアブソーバーの圧縮側がどこまでストロークするかを確認しているイメージです。
次はショックアブソーバーも外して、タイヤがどの位置でフェンダー内側と接触するかを確認します。当然タイヤホイールのサイズや、ハンドルを切る角度によって影響を受けます。
さらにタイヤも外して、アーム類がどこまでストロークするかを見ていきます。イラストではロアアームの可動限界っぽい絵ですが、タイロッドやスタビリンク、アッパーアームなどアーム類のどれかが最初にボディに干渉する限界の位置です。当時新型インテグラTYPE R(DC5)のタイロッドの設計に驚愕したのも素敵な思い出(笑)。
ここまでで、(1)純正ショックアブソーバー (2)タイヤ (3)アーム の圧縮側*の計測が終わります。
*当時は「バンプ側」、「バウンド側」と呼んでいた記憶があります。当然ですが伸び側「リバンプ側」「リバウンド側」も同様に計測しておきます。これらに加えて、スプリングにもストロークがあり、特殊な設備でスプリングをダメにする覚悟があれば測定は可能ですが、スプリング単体の寸法からある程度計算で求められるので、実測する事は稀です。社外の直巻スプリングには「ストローク」「有効ストローク」といった記載があるはずです。計算式は簡単で(自由長)-(密着長)。(密着長)は(線径)*(巻数)です。
車高を上げたり下げたりするのは簡単で、見た目は大きく変わりますが、圧縮側と伸び側それぞれの、アーム類やタイヤ、ショックアブソーバー、スプリング全てのストロークを考慮調整してはじめてサスペンションは安全に性能を発揮します。
冒頭の「車高を下げたクルマで、段差を越えるために一時的に車高が上げられて、走行性能は影響を受けない」夢のようなデバイスに聞こえますが、本当にサスペンション全体のセッティングが出来る方やショップさんには「見えないデメリット」が理解出来るはずです。全長調整式の車高調整ショックアブソーバーと、正しい計測や計算が出来る方がこのデバイスに合わせてスプリングを選べば車種によってはデメリットを最小限に抑えるセッティングが探せるかも知れませんが。。。
当たり前ですが、純正のショックアブソーバーのケース長、ストロークやタイヤ、ホイールサイズは、タイヤやアームの干渉限界を超えず、スプリングのストロークを使い切らない様に設計されており、そこに手を入れる事で発生するリスクは改造したユーザーが負う必要があります。特にこの様な「夢のようなデバイス」を装着する時には信頼できるメカニックに相談して、全体を計測し、サスペンション全体をイチからやり直す覚悟が必要だと思います。
今はもう改造車の業界を離れて久しく、ほぼノーマルのSUVに乗っているただのクルマ好きのおっさんですが、冒頭のデバイスについてざっと検索しても、本質的な懸念やセッティングの難しさに触れるサイトや記事が見つからなかったので久々にCARTUNEに投稿する気になった次第です。わかりにくい記事で申し訳ありません。気になる点があればコメントを頂ければと思います。
サスペンションのセッティングは、組んだりバラしたりしながらその車両の計測と計算を繰り返す、気が遠くなるほど大変な作業です。本当に正しいセッティングを出すのに工賃が嵩むのは当然なので、ショップさんにお願いするなら良くメカニックさんと話し合ってくださいね😅
