その他の旧車・メグロ・DIY・ステッカー・バイクに関するカスタム事例
2026年07月10日 15時04分
最近は雨続きですが、少しずつ夏らしい空気になってきました。
鼻を抜ける夏の匂いに、ふと昔を思い出す。
そんな瞬間があるのは、きっと私だけではないはずです。
そして、夏といえばバイク。
……ということで、今回は私の愛車を紹介したいと思います。
実はあまり表には出していませんが、私はメグロを所有しています。
1958年式の「ジュニアS3」。御年68歳、もはや旧車というより、走る歴史資料と呼んでもよいくらいの一台です。
昨年バイクの免許を取得してから購入したので、原付を除けば、これが私にとって初めてのオートバイです。
遅い。
重い。
そして坂道は、こちらの期待ほど登ってくれません。
現代のバイクと比べれば、便利でも快適でもありません。
しかし、そんなことは大した問題ではないのです。
この姿で今も存在し、エンジンがかかり、自分の力で道路を走っている。
それだけでもう、十分すぎるほど満足しています。
そもそも68歳の機械に、速さや快適さを求めるほうが酷というもの。
細かいことを気にしていたら、古いバイクには乗れません。
調子の良い日もあれば、少し機嫌の悪い日もある。
それでもエンジンをかけて走り出せば、不思議とすべて許せてしまう。
私にとってこのメグロは、ただの移動手段ではありません。
ゆっくり走ることそのものを楽しませてくれる、大切な最初の一台です。
そして、私がこのメグロで一番好きなのは、何と言ってもエンジンの造形です。
まず目に飛び込んでくるのが、堂々と「メグロ」と刻まれたタペットカバー。
しかも英語ではなく、堂々のカタカナ。
「海外なんて知るか、うちはメグロだ。」と言わんばかりの存在感がたまりません。
そこから真っ直ぐ伸びる太く立派なプッシュロッドチューブ。
そして、ハート形にも見える優雅なクランクケース。
美しい。
あまりにも美しい。
もちろん、このエンジンのルーツをたどればBSAの影響を強く受けていることは有名です。
……とはいえ、私は細かいことは気にしません(笑)。
この独特の造形には、現代の工業製品にはなかなか見られない温かみがあります。
1950年代の日本は、まだ「追いつけ、追い越せ」の真っただ中。
まだ完成されてはいない。
だからこそ、少しでも高性能な外国車に近づこう、国内メーカー同士でも負けまい――そんな技術者たちの熱意や意地が、このエンジンから伝わってくるような気がします。
スペックだけでは語れない、「人が一生懸命作った機械」の表情があります。
そして、このメグロの血統はここで終わりません。
後にメグロは川崎重工業と手を組み、その技術は名車W1へ受け継がれ、さらに現在のカワサキ大型バイクへと脈々と受け継がれていきます。
つまり私のメグロは、今のNinjaやZシリーズの”先祖”のような存在。
68年前の鼓動が、今もなお現役で走っている。
そう考えると、このエンジンはただの鉄の塊ではなく、日本のオートバイ史そのものなのかもしれません。
語りすぎてしまいましたので、このあたりはまた別の機会に。
さて、本題です。
先の記事でも書いたのですが、最近はステッカー作りにハマっています。
ちょっと無骨なメグロに、さりげないワンポイントが欲しい。
そんな思いつきから、このメグロちゃんにも一枚作ってあげることにしました。
私は昔から、自分の乗り物には愛称を付ける癖があります。
今思えば、その原点は子どもの頃に観た、車と人間の(ちょっと狂気じみた)ラブストーリー『Christine』だったのかもしれません。
この子の名前は「メグちゃん」。
そして、この子にはちょっとした個性があります。
古い単気筒らしく、少しオイル下がり気味で、始動直後はなかなか豪快に白煙を吐いてくれます。
後ろを走る方には少々申し訳ないのですが……まあ、それも旧車のご愛嬌ということで(笑)。
というわけで、ステッカーのタイトルは “Smoky Meg”。
煙を吐くメグちゃん。
そのままです。
調べてみると、“Smoky”には英語のスラングで「色っぽい」「セクシーな雰囲気」という意味で使われることもあるそうです。
煙も吐くし、ちょっと色っぽい。
なかなか悪くない名前じゃないでしょうか。
「メグ」と聞いて、80年代に青春を過ごした方なら、あるアメリカの恋人を思い浮かべる方も多いはず。
今回は、その頃の彼女の雰囲気をほんの少しだけお借りして、1950年代のアメリカン・ピンナップガール風にアレンジしたデザインを、チャッピーに描いてもらいました。
背景は当時の広告をイメージしたブルーのギンガムチェック。(ちょっとBMWぽい)
赤いリボンに赤い靴、アイボリーの縁取り。
そして、今ではすっかり見かけなくなった、煙草を片手に微笑む女性。
どこか懐かしく、それでいてメグロにもよく似合う一枚になったと思っています。
……ここまで読むと、「この人、昭和生まれかな?」と思われそうですが。
実は私、ミレニアム世代です(笑)。
それでも、幼い頃に映画や音楽から浴びた50〜80年代のカルチャーが、どうやら身体のどこかに染み込んでしまったようです。
だから、こんな趣味になってしまったのも仕方ない。
……ということで、どうか温かい目で見守っていただければ幸いです。
のっぺりとしたタンクに、ちょっとだけ派手なワンポイント。
貼る前は「少し目立ちすぎるかな?」とも思いましたが、いざ貼ってみるとこれが意外としっくり。
なかなかいいじゃないですか。
黒一色だったメグちゃんにも、少しだけ表情が生まれました。
もしツーリング先でこのステッカーを見て声をかけられたら、
「メグロだけに、Meg Ryanなんですよ。」
と返すつもりです(笑)。
このネタで笑ってくださる方とは、きっと映画や音楽の話だけで何時間でも盛り上がれる気がします。
逆に「誰それ?」という方は、ぜひ『恋人たちの予感』や『トップガン』の頃のMeg Ryanを検索してみてください。
私がこのデザインにした理由と、好みがだいたい伝わると思います(笑)。
旧車も映画も音楽も、少し昔のものには今にはない空気があります。
便利さや速さでは敵わなくても、眺めているだけで幸せになれる。
そんなものが一つでも人生にあると、日常が少しだけ豊かになる気がします。
……さて、次は何をしましょうか?
